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この日は、昨日描いた崖に、グッと距離を近付けてイーゼルを立てた。南面の崖は陽が当たると明るく光を反射して美しい。この岩が風化して、浜の白い砂になるのだが、東伊豆のごろた石の浜と、石の性質が違って、硬さも色も異なる。石としては品質が落ちるのだが、画家の目からは明るいオーカー色の砂や崖の方が描写しやすい。
天気もよくて、光を描くために、イーゼルを外に持ち出した印象派の画家達が、光が反射して、眼前の空間が光に溢れている風景に出遭った時の喜びと、その前にイーゼルを立てて筆を走らせる充実感は、この時の私と同じだろう。まさに三昧境だね。
でも、本人が幸せな時間を過ごしても、描いている絵が良くなるとは限らないので、クリアな目で、眼を独立させて描写に徹しなければならない。歴戦の勇士の、戦場での判断、行動と同じだ。