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この作品は、午前中の快晴に続いて午後も快晴のため、落日間際の瀬戸内風景を描きに、急遽、4時頃タクシーで(明見君とは連絡つかず、中川さんは都合がつかなかったため)王子が岳に出かけた。イーゼルを立てた場所は〈瀬戸内夕照(1)〉と同じ場所。太陽の位置が〈瀬戸内夕照(1)〉の位置より高い時間に合せて、現場に着いた。
16時39分から17時37分まで、筆を走らせながら、空の色と反射する海と児島の町の屋根に反射する光が変わるために、備忘録でデジカメで多くの写真を撮っておいたが、絞りを変え何枚撮っても、当たり前だが、裸眼で見ているようには撮れない。
しかし、この日の落日は最高だった。そして、それに出合い、そこでキャンバスを立てることが出来たのは、画家としてなんと幸せなことだろう。チャンスの神さまの前髪をシッカリと摑むことが出来たのだ。
以前、東伊豆に借家を借りて柏と往復してイーゼル画を始めた頃、一度伊豆スカイラインで駿河湾方向の夕景に出遇ったことがある。光る海と、光る屋根、黄昏れ色の光が私を含めた、全ての物を包んでいる。こんな、風景と光で、一度はイーゼルを立ててみたいとおもっていた、同じ光の中だ。仏教に涅槃寂静という言葉があるが、こういう時間のことか。夢中に、無心に筆を走らせた。