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この日は、出崎の車で入れる最奥の、山田側の浜辺でイーゼルを立てた。丸山という砂州で繋がった島で、室町時代に城があったという、本当かどうかややあやしいげな石碑が立っている。この石碑の由来や、立てた人物のことも調べれば結構面白そうだが、近年イーゼル画を始めてから、他のことに手が回らない。
この浜でイーゼルを立てるのは初めてで、奥から順に何点か描くつもりだ。朝の光を真正面に受けた、崖と緑が美しい。海辺の木は、常緑樹が多いので、冬でも画面が明るくなって、枯れ木を描くのより楽しい。
背面の斜面から張り出した枝と、影になっている右手前の石の崖を入れて描き始める。以前なら、張り出した枝や、右手前の崖はキャンバス上に入れないのだが、イーゼル画ならば、略す訳にはいかない。トンネルの中にイーゼルを立てれば、トンネルも画面に入れなければ、外の風景だけ描けばただの風景画になって、画家の立ち位置が分からない。丸山を描く1点目は、空間の面白い作品になってしまった。複雑な空間だが、なんとか完成まで持っていきたい。
ついでに、モナリザに髭を描いたり、美術展に便器を出したりしたデュシャンもバチが当たるに違いない。